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映画監督ジョン・カーペンターのインタヴュー本「恐怖の詩学」を読んで泣いているオレって・・・。 [映画]

図書館から借りた一冊の本が、私のハートわしづかみなのであります。皆様は興味ないでしょうけど勝手に熱く語ります。その本の134~149頁を毎日繰り返し読んでは、涙を流すアホな私ですから。(本を制作した方々も、私のようなコア読者がいるとは思わないでしょう、あはは)

その本とはこれです。 

「恐怖の詩学 ジョン・カーペンター」

恐怖の詩学.jpg

ジョン・カーペンターとは誰か?一世を風靡した兄妹デュオ「カーペンターズ」と関係あるのか?いいえ、ありません!

ジョン・カーペーター(以下、「JC」と略記)は、1948年生まれのアメリカの映画監督です。代表作は79年の「ハロウィン」。これまで約20本の作品を撮りました。JCはアカデミー賞レースにからむタイプではありません。良く言えばエキセントリックなアウトロー監督、悪く言えば「B級ホラー」「B級アクション」ばかりの駄作家・・・ということになります。

しかし!

私はJCの映画が大好きなんです。理屈を超えた恋愛のごとく、どんなにバカげていようと観客の多くが「金返せ」と暴れそうな作品でさえ好きです。(バカげた映画とは「ゼイリブ」「クリスティーン」「パラダイム」のことですが・・・)

学生時代に観た82年「遊星からの物体X」(原題「The Thing(物体)」)が、JCにのめり込んだ決定打でした。

マニアック自慢っぽいですが、この作品は、リドリー・スコット監督「エイリアン」を超えるSFホラーの金字塔と言い切りましょう。10回は観ましたね。(ちなみに、私が5回以上繰り返し観た映画は「遊星からの物体X」のほか「タクシー・ドライバー」(M・スコセッシ監督)、「ダーティハリー」(ドン・シーゲル監督)、「死霊のはらわた」(サム・ライミ監督)です)。

「遊星からの物体X」という映画。極寒の南極が舞台です。理由不明で全滅したノルウィー隊の基地を調査した、アメリカ隊は「不気味な動物の死体」を発見し、自分たちの南極基地に持ち帰ります。ところが、それがとんでもない悲劇を招きます・・・その死体、実は死んではいません。他生物に「寄生」して体を乗っ取り増殖する物体(The Thing)の仮死状態だったんですね。

そうとは知らず、凍っていた仮死エイリアンを基地で「溶かして」しまった結果、生き返ったエイリアンは次々と隊員たちを襲いはじめます。敵は襲った人間の体をのっとり、その人間に同化しますので、隊員たちは「いったい、誰がエイリアンなのか?」と疑心暗鬼にさいなまれ、互いを疑い、銃口を向けあう・・・ホラーでありながら、心理サスペンスとしても秀逸なんですね。

遊星からの物体X.jpg

当時20代の私は、陰鬱で救いのない展開に加え、エイリアン造形の生々しさと凄まじさに熱狂しました。暗闇でコソコソではなく、化け物はどっかーん!と画面に登場。これは画期的でした。落ちた頭から蜘蛛のような脚が生えて逃げ出したり、「これギャグ?」というくらいのやり過ぎ・・・(「エイリアン」のフェイスハガーのパロディか?)。うーん、さすがはJC、本質的にテイスト「B級」であります(褒め言葉です)。

遊星からの物体X2.jpg

個人的に大絶賛の映画「遊星からの物体X」ですが、公開がスピルバーグ監督「ET」とバッティングしたこともあり、まったくヒットせず、JCは次の監督作をクビになってしまいます。つまり本作は、JC最大の「失敗作」という烙印を押されているんです。

さて、いよいよ本題です・・・って、いままでは前置きかよ!?長っ!

前述した「恐怖の詩学」が素晴らしい、という話です。この手のインタヴュー本って、質問が微に入りすぎてツボをはずしたり(つまらん楽屋落ちに終始)とか、インタヴュアーあるいはインタヴュイーの一方あるいは両方がバカで、紋切り&上っ面になることが多いですが(特に日本の場合はねえ)、この本は全然、違うんですよ。

作品にまつわるエピソードはもちろん、JCの世界観、人生観、映画愛、映画作りの姿勢、プロデューサーや俳優との確執まで率直に語られ、読めば読むほど興味深いんです。

カート・ラッセル(JC作品の常連で「遊星からの物体X」主演)が、いかにプロフェッショナルな俳優かという話。仕事がないから、しかたなく「クリスティーン」を引き受けた話・・・などなど。

そして私を泣かせる最高のインタヴュー(134~149ページ)は、まさしく「遊星からの物体X」にまつわる箇所です。インタヴュアーが「『遊星からの物体X』の失敗は・・・」などと、本作をはなっから(世間的でいう)大コケ作として扱うのが痛快。

その質問にクールに応えるJCがカッコ良いんですねえ。自作をとりまく状況・反応を冷静に受けとめ、ロジカルに失敗の原因分析をするJC。これぞプロだ!根拠のないプライドを振りかざし「押しつけ」ばかりの日本の映像作家とは大違い!

撮影技術や製作裏話をひととおり語ったJCが、最後に、こう言い放って、私の目がしらを熱くさせるのであります。

(「遊星からの物体X」に関し)「私はこの映画が大好きだ。『遊星からの物体X』を嫌いになったことなどない。素晴らしい映画だ。自分のお気に入りの映画だ」。

(「遊星からの物体X」の続編を作りたいか、と聞かれて)「やりたいね。すごいストーリーがあるんだ、あの最後に残された二人で始まる。だが、金がかかりすぎるからだれも作ろうとはしない。やるとすれば苦痛と恐怖のなかで撮影しなければならないだろう」

・・・いやあ、嬉しい。私もJCと同様、82年以来、「遊星からの物体X」を”嫌いになったことなど一度もない”し、”素晴らしい映画だ”と思うし、”お気に入りの映画”なんです。一ファンに過ぎない私が僭越ですが、JCと私は価値観が一致していて、おおげさに言えば精神が通じ合うというのでしょうか・・・。「恐怖の詩学」のインタヴュー、すべてにおいてJCに対して強烈なシンパシーを感じます。

だからこそ「ザ・フォッグ」「ニューヨーク1997」「マウス・オブ・マッドネス」「ヴァンパイア最後の聖戦」そして「ゼイリブ」「パラダイム」はては「ハロウィンⅡ」でさえも、JCの作った映画は(本人が失敗と認めている作品でも)、私を魅了してやまないんですよね。

ジョン・カーペンターという映画監督が存在すること、20代で彼の映画に出会えたこと、彼の映画を日本で公開してくれた配給会社・・・すべてに感謝したいです。そして「恐怖の詩学」という本を作った皆様、和訳出版して下さったフィルムアート社にも敬意を表します。ありがとうございます。

【以下補足】

さて!10年近く新作を発表していなかったジョン・カーペンター監督ですが、ついに新作が登場であります。サイコホラー「ザ・ウォード 監禁病棟」(←題名だけでワクワクしますね)。9月17日より公開です。見逃してはいけません!

ザウォード.jpg

次に、数年前から話題になっていた「遊星からの物体X」のリメイク企画についてです。82年の「遊星からの物体X」が、そもそも、昔に作られた「遊星よりの物体X」のリメイクなので、上記企画が実現すれば3本目の「物体」ということになります。

で、リメイク作品がいつまでたっても出来ないので、企画が流れた?と思いきや、実はすでにアメリカでは公開した(らしい)。日本でも秋に公開(またはDVD発売)となるでしょう。ただし痛恨なことに、監督はジョン・カーペンター氏ではありません。だから、見る気ぜんぜんなし・・・おいおい・・・。一応、2011年版「遊星からの物体X」(原題 The Thing)の海外版予告編を貼り付けておきます。

 


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コメント 4

rk

こんにちは!

ブログを読みながら
遊星からの物体X…?
どこかで聞いた事がある!!
と思い考えたところ
プレイステーション2のゲームに
「遊星からの物体X episodeII」
というゲームがあったのを思い出しました!
友達の家で友達と一緒に攻略したの事はいい思い出です(笑)

映画の方は見ていないのですが
とても気になるのですぐに借りてきたいと思います!
by rk (2011-07-10 16:35) 

azm

ども! 遊星からの物体X、いいですね~。誰が乗っ取られたか分からない疑心暗鬼の雰囲気が良かったですね。マグマ大使の人間モドキ、ハインラインの人形つかい、に通じるものがあります。信じていたものが信じられなくなるという、人間の根源的な恐怖なんですね。 (;゜0゜)
by azm (2011-07-10 22:18) 

門前トラビス

To rk様、コメントありがとうございます。
そう、いまや映画「遊星からの物体X」もカルトな人気を誇る名作SFホラーとして認知されております。
70~80年代の、うそっぽい感動SFに辟易していた私は、映画館で「遊星からの物体X」を観た時に、自分が求めていたのはこれだ!と思いましたね。
(もちろん「エイリアン」「ブレードランナー」など秀逸な作品も評価はしていますが)
ジョン・カーペンター監督の映画は、シリアスな作品であっても、どこかキッチュとでチープな雰囲気が漂っており、ファンとしてはそこが堪らんわけです。
間違いなくDVDになっていますので、ぜひ、The Thing、をご堪能ください。
機会があれば、JCの他作品も是非!!
by 門前トラビス (2011-07-11 23:01) 

門前トラビス

To azm様、コメントありがとうございます。
意外にもジョン・カーペンター監督「物体」が好きという方がおおく、実に嬉しい限りです。
マグマ大使の「人間もどき」怖かったですね~~。
ゴアの顔は怖いし、それより、ゴアの表情が全く変わらないのが怖いですよね・・って、かぶりものだから当り前か。
エイリアンが人間に化けるといえば、アメリカの1時間ものTVドラマ「インベーダー」というのもありました。ああ、怖い。
「遊星からの物体X」では、物体に乗っ取られた犬が本性を現すシーンも凄かったですね~。
触手みたいなべろべろが伸びて、最後に犬の頭がばっくりと割れるのはエグかったなあ~。
いやあ、もう一度観たくなってきました。
2011年のリメイク版は、日本での劇場公開の話が全然聞こえてこないのですが・・・うーん、どうなるのだろう。
by 門前トラビス (2011-07-11 23:07) 

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