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訃報。ピアニストで指揮者のゾルダン・コチシュさんが、64歳でご逝去。 [クラシック音楽]

クラシック音楽に関する訃報です。

ピアニストで指揮者でもあるハンガリーご出身のゾルダン・コチシュさんが、2016年11月6日にお亡くなりになったとのこと。

えっ?コチシュさんって、それほど高齢ではないはず・・・とチェックしますと、1952年生まれの享年64歳。音楽家(とくに指揮者)であれば、引退どころか、円熟のご年齢です。じっさい、コチシュさんはハンガリー国立フィルの音楽監督という現役バリバリの方でした。先月(10月)末は同オケの日本公演に指揮者として来日予定でしたが、出演キャンセルとなっていました。

ハンガリー01.jpg

やはり体調が悪かったのか・・・。

少々マニアックなテーマですが、ゾルダン・コチシュさんへの思い入れを、ちょっとだけ書かせていただきます。

1970年代にピアニストとして登場したコチシュさん。フィリップスなど大手レーベルからレコード(CDじゃないよ)を数多くリリースし、日本でも人気を博しました。ハンガリーの作曲家バルトークといったお国ものだけでなく、モーツアルト、ベートーヴェン、ラフマニノフ、ドビュッシーなど幅広いレパートリーを超絶技巧で弾きこなす、まさしく「職人」でございました。

ワタクシの思い出の一枚といったら、これ!

ゾルダン・コチシュさんがソリストをつとめ、エド・デ・ワールトさん指揮(懐かしい!)、サンフランシスコ交響楽団による1980年代の録音です。

ラフマニノフ ピアノ協奏曲2番、3番であります。

ハンガリー02.jpg

初めて聴いたときはギョッとしましたよ。ピアニストの技巧が聴きどころのラフマニノフ楽曲とはいえ、感情面をスッパリ断ち切って、あまりにメカニック特化したような即物的演奏に唸ったのであります。

難曲で知られるピアノ協奏曲第3番。冒頭からスポーツカーをかっとばすごとく、高速でバンバン突っ走ります。こんなに速く弾く必要がどこにあるのか?つうか、物理的にピアノをこんなに速く弾けるものか!と、妙な感心をしてしまいました。

こんな演奏、すぐに飽きるぜ、と思いきや不思議なものですな。曲が進むにつれ、むしろ心地よくなったのです。甘さをひかえたスイーツのほうが美味しく感じるように(比喩変だけど)、余計な味付けをせず、その曲まんま、が提示されることで、ああ、ラフマニノフってホントに良いなあ~と、逆説的に音楽がココロに染みるのですな。お、良いこと言ったぞ、オレ。

さて、コチシュさんは1980年代以降、楽団創立や指揮者へと活動の幅を広げます。その根底に、彼の「独創性」や「開拓者魂」を見るわけです。ワタクシは、コチシュさんを「信念のヒト」と思うんですね。

突然ですが、興味深い動画をYouTubeで発見しました。コチシュさんが弾く、モーツアルトのピアノ協奏曲23番(K488)のライブです。案の定、テンポ速め。しかしそんなことより、この演奏には、通常とは決定的に異なる点があります。どこか分かりますか。

 

答え: ピアニストが演奏を始める「入り」のタイミング。本来は曲開始から1分半ほど経過してからです。つまり冒頭約1分半、ソリストはオーケストラ演奏(前奏)をじっと聴いて、そこから満を持して、弾き始めるのが普通なんです。

ところがコチシュさん。曲開始から30秒後にはピアノを弾きはじめています。主役であるピアノが、オーケストラの「伴奏」をしているのです。まるでバッハの通奏低音のように。室内楽曲バージョンのスコアかもしれませんけど、この演奏、実に珍しいです。当曲のマニアと自負するワタクシでさえ、初めて見き聴しましたもんね。

この動画ひとつを取り上げて、コチシュさん芸術の志向を語ろうとは思いませんが、彼の独創や信念は感じられると思います。今更ですが、ワタクシ、コチシュさんの「指揮」に接していないのが残念です。

偉大なる音楽家のご逝去、改めてお悔やみ申し上げます。


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