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没後30年、鴨居玲 回顧展「踊り候え」、を伊丹で拝見しました。 [絵画]

没後30年となる画家 鴨井 玲(かもい れい、1928~1985)の回顧展を観るため、兵庫県の伊丹市立美術館へ行ってきました。油彩、素描など100点をじっくり拝見いたしました。

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この回顧展、東京からはじまり金沢、函館、伊丹、と巡回。東京展の会場は、ワタクシの職場から徒歩10分という至近、東京駅ステーションギャラリーでしたが、天邪鬼なワタクシはあえてそこを避け、函館か金沢か伊丹、よーするに「東京以外の地で、鴨居さんの絵を観たかった」のであります。理由は自分もよく分からず。

結果、伊丹での展覧会(10月31日~12月23日)に着地した次第。

初めて訪れた伊丹市美術館は、しっとり和テイストの建物でした。最近の美術館には、威圧感やエキセントリックな外観勝負の物件が現れる中、こうゆうセンスは好き。落ち着きますものね。

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こじんまりした和風の中庭も良いな・・・って、私は美術館を観に来たわけではなかった。

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さて、本題の鴨居玲さん回顧展であります。

「死をみつめた画家」と称され、圧倒的筆致で人間の孤独や絶望を描き切った作品群。暗い画面のなかに、閃光のように走る迷いのない線が、こちらの精神に切り込んでくるんです。

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展示作品の多くは人物画。描かれた対象は、ヨーロッパ在住時代は老人や酔っ払いで、日本に戻って自殺するまでは自分自身すなわち、「自画像」が多くなります。人物は、いずれも顔が灰色に濁り、目はボンヤリとした洞(ほら)のよう。子供が見たら「ゾンビみたい」と言うでしょうね。

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死の臭いに満ち満ち、それでいながら、逆に激しい生への希求が感じ取れる作品。対峙していると、ぶるっと体に震えが走ります。

自画像が多くなる80年代の絵には、シロウトの私にさえ感じられるほどの、「描けない苦悩と焦燥」が溢れ出てきます。絶望感に囚われ、自らのアイデンティティさえ疑うほど、もがき苦しむ様がストレートに伝わります。まことに画力とは恐ろしいもの。

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しかし、しかし、ですね。

意地悪な見方をしちゃうと(作品展示の方法にも依存しますが)、その「苦しみ」が、あまりにもシアトリカルに分かりやすく呈示されると、作品を観るというより、画家の人生を紹介するドキュメンタリー番組を眺めたような、ちょっと気持ちが引いちゃう恨みがありますね。

たとえば、代表作であり、回顧展ポスターにも使われている「1982年 私」という作品。中央には何も描かれていないキャンバスと鴨居さんがおり、その周りを、なんと、過去の自作モチーフたちが亡霊のように囲んでいます。ここまでシッカリ描かれると、なんとなく「計算」を読み取ってしまう、ひねくれたワタクシであります。

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鴨居さんの作品は極限までパーソナルなようでいて、実は、1970年~1980年代という時代(の価値観)を映しているのかも・・・と深読みしてしまいました。

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いずれにしろ、観る者の魂をゆさぶる、独特の絵画世界を築いた鴨居玲さんという画家が、日本におられたこと、を認識するだけで、伊丹まで向かう価値があります。と、書きつつ明日(12月23日)が、この展覧会の最終日でしたか。失礼。


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練馬区立美術館で、「シスレー展」を観たハナシ。 [絵画]

先月(10月)、練馬区立美術館で「シスレー展」を観たハナシを書きます。

当ブログに何度か書いたように、ワタクシ、世間で人気の「印象派」の絵画にサッパリ食いつけないのであります。現在、都内で「モネ展」が大々的に開催されてますが、行く気も起きない。モネさんの絵の、いったい何がどう良いのか分からないから。他の巨匠セザンヌ、ルノワールも同様です。まあ、ワタクシごときがどう感じようと、作品は美術史に燦然と輝くわけですが。

さて、どんな嗜好にも例外はあり、ワタクシが愛している印象派の画家が二人おります。それがアルフレッド・シスレーさん(1839~1899年)であります。(もうひとりは、ピサロさん)

シスレーさんの風景画の素晴らしさといったら!地上へふり注ぐやわらかな陽光。天へと広がる清々しい空気感。そして流れる風。絵に吸い込まれそうになります。モネさんの「ぼやけた絵」とは一線を画す、確固たる「世界」がキャンバスに広がっているのであります。

おっと、ノーガキはどうでも良いですね。練馬区美術館で、「シスレー展」を観た話でした。

美術館は、練馬区の中村橋駅(西武線)の近くにあります。練馬区内で電車を降りるのは、1988年以来、27年ぶり(!)・・・あ、また話が脱線してるな。すいません。

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展示されたシスレー作品は、日本国内のコレクション20点ほど。少ない数が幸いして、疲労感もなく、じっくりと一点一点の作品と対峙できました。

やっぱり良いなあ~シスレーさん!

ホンモノを前にすると、恥ずかしいかな、それしか言葉が出てきません。

展覧会ポスターは「モネっぽい」、色がチカチカした作品が使われてますが。なんで、そうなる、日本の展覧会。ワタクシが好きなシスレーさんは、そちら方向でなく、ゆったり広がる空、流れる風、景色の奥ゆきが描かれた作品です。

1890年の作品「葦の川辺-夕日」。ああ、この空ですよ、これが良いんだなあ。

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1885年の作品「サン=マメスのロワン河」。なんとも気持ち良い。

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観るほど幸せ気分が高まる、この魔力はなんだ!と、一人、気分を高揚させ、練馬区立美術館を撤収したワタクシでした。いや、まことに充実した1日でありました。

ほ~らね、世間が誉めそやす展覧会を観に、六本木や上野の美術館で人ごみにもまれるより、心の底から好きと思える画家の絵に会いに、ちょっとマイナーな美術館に足を運ぶ。そして、ゆったり作品を眺める。ツウを気取るわけじゃないけど、カッコイイじゃん、オレ、と思います。シスレーさんだって十分に巨匠ではありますが、日本での認知度はイマイチなのが残念の極みです。

話はズレますが、酒を呑みながら、絵の話ができる友だちが数年前までいたんだけど、今はゼロです。寂しいなあ、と思ったら、ワタクシ、そもそも友だちがトータル3人ほどしかいなかった。絵の話以前ですなあ。ま、友だちは、それで十分ですよね。ぶははあ。


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札幌で拝見した「夢見るフランス絵画」展、ヴラマンクとキスリングの素晴らしい作品に、感動で毛が逆立ちました。 [絵画]

少し前のこと、「夢見るフランス絵画」と題した展覧会を、北海道立近代美術館(札幌市)で拝見しました。開催期間は2015年6月27日~8月23日。すでに終わってしまったイベントのハナシですいません。

この展覧会、昨年(2014年)に東京(渋谷)で開催されていました。そのときは「夢見るフランス絵画」というタイトルから、どうせ日本人にウケる印象派あたりの作品ばっかりでしょ、とワタクシ、一顧だにしなかったのです。以前、書きましたように、印象派絵画とくにセザンヌ、ルノワール、モネ、といった大御所作品がすんごく苦手な私なのです。(九州で印象派展を観た記事は→ここ)。

印象派絵画は、美術史的には、おおいなる意義があるのでしょう。しかし、私には、色や輪郭がぼやけた、もやもやした絵としか受け取れない。人気がある理由がサッパリわからない・・・と書くと、美術好きを自称する御仁から「お前は芸術のなんたるを分かっておらん!」と叱られそうですが、こればっかりは理屈ではなく、「好み」ですから、しょうがないですな。

そんなわけで、東京で開催中、完全無視だった件の展覧会。ところがその後、新聞か雑誌の記事をみてビックリしたんです。この企画、印象派ではない画家の作品も充実しており、そのなかには、私のツボを突く、あのひと、このひと、がおられたわけです。うはあ、愚かなオレ。展覧会タイトルから勝手に内容を決めつけ、無視をきめこむ、とは不覚にもほどがあります。

で、行きました。札幌で。遅ればせながら。

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・・・ほらね、ポスターの絵が、やっぱりモネ大先生の「睡蓮」だわ。こうゆうチョイスをするから、私みたいな勘違い野郎が生まれるんだ(と、人のせいにしてはいけませんね)。

会場には有名画家の作品が、70点、どどーんと掲げられておりました。

セザンヌ、モネ、ルノワールは計10点ほど。そこは1分程度のチラ観で通り過ぎます。そう、目指す画家の作品コーナーへ急がねばなりません。

目的の場所へ到着したワタクシ。おおげさでもなんでもなくザワッと毛が逆立ちましたね。恐怖ではなく、もちろん感動して、であります。

まずはルオーの6作品。どれもすんごい迫力を発散しており、陳腐な言い方ですが、これだけの「魂の表現」を前に、出せる言葉などないでしょう。感服。

そして、いよいよ、今回、もっとも観たかったふたりの画家。ヴラマンク、と、キスリング。

ヴラマンクは10作品が展示されていました。ああ、なんと壮観であろう。多くは、黒、茶、白、を基調としたモノトーンの重たい風景画ですが、迷いのない筆の勢いが素晴らしい。この美学、筆力。これですよ、これ、求めていたのは!ゆうに30分間、ヴラマンクの絵の前を行ったり来たりする「完全に怪しいヒト」になったワタクシであります。いやあ、いいなあ~いいなあ~。

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目指す次の画家。キスリングです。見つめていると吸い込まれそうな絵です。魅力的ならぬ魔力的な人物画です。女性の美を、美そのまんまで描いたかのよう。夢のなかの理想女性像と言いましょうか。憂いを含んだ彼女たちの「目」の、切なさと吸引力!

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キスリング作品にも釘づけ状態のワタクシ。あまりに素晴らしく、この絵画が世の中に存在する、と思うだけで、泣きそうになっちゃいます。

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ヴラマンクとキスリングに鑑賞時間の大半を費やしたワタクシ。これで撤収しても大満足なんですが、一応、流し観で終わらせた画家さんの作品を、念のため、もう一度チェックします。順路を逆行し(会場はガラガラなので全然問題なし)、フジタやユトリロを眺めたわけです。

ユトリロの、例によってパリの風景画。じーっと見つめていたら個人的ツボの発見、をしちゃったんです。ユトリロの風景画に登場する「人物」について、です。これがもう、あまりにもヘタッピで、見れば見るほどヒドイ。描かれた人物が、前を向いているのか、後ろを向いているのかさえ判別できない。そりゃないだろうよ、とツッコミたくなる体たらく。

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ワタクシ、つくづく思いましたね。好きでもない絵をじっくり見ると、ろくな発見をしないもんだなあ、と。ユトリロ好きの方々は、きっと、こんな「サマツなこと」を気にもしないのでしょうねえ。私には無理だけど。

以上、「夢見るフランス絵画」展の感想でした。ポスターデザインが内容への誤解を誘発するうらみはありましたが、ヴラマンクとキスリングの作品に、腹の底から感動したので、何も文句は申しません!

さあて、次のターゲット展覧会。あえて東京開催時に行かなかった鴨居玲さんの作品展であります。函館、金沢、伊丹と巡回するのですが、さて、どの街で拝見しようかな~と、そんなことをウラウラと考えているときが一番幸せです。ふふふのふ。


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神戸で「ホドラー展」を拝見したハナシ。心が震える画の数々。 [絵画]

少し前のハナシです。4月5日まで開催の「ホドラー展」を拝見しました。会場は兵庫県立美術館(神戸)です。

フェルディナント・ホドラーさん(1853~1918)はスイスの画家。クリムトさんほどトガってませんが、神秘性に満ち、かつ力強さも兼ね備えた象徴主義的作風の方です。リズミカルな様式美も特徴にあげられましょう。

この展覧会、私にとって2015年の最大関心事でした。大好きなホドラーさんの、あの線、あの色を、実物で味わいたいと切望していたのであります。

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ホドラーさんの代表作といえば、まっさきに「夜」が思い浮かびます(残念ながら、今回の展覧会に来ていませんでしたけど)。

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画面中央、黒い布に覆われた「何か」に襲われる男。彼の表情はまさに恐怖そのものです。死んだように熟睡する裸の男女たちと、彼の激しい感情の対比。一目この作品をみた瞬間、ホドラーさんってすごいわあ、と感心しちゃいましたね。

クラシック音楽好きの方なら、このCDジャケットに見覚えがあるでしょう。

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デヴィッド・ジンマン指揮チューリッヒ・トーンハレ管のマーラー交響曲第5番。ジャケが、ホドラーさんの作品です。ちなみにジンマンさん指揮のこのシリーズ、CDごとに異なる画家作品をジャケに採用して実にセンスが良い。スイスの画家ではセガンティーニさんや、クーノ・アミエさんも登場していましたっけ。

いかんいかん、話が脱線していますね。神戸の「ホドラー展」に話題を戻しましょう、どーん。

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圧倒的大作は少なめでしたが、初期からの晩年にいたる作風の変遷を知るには十分な内容でありました。手ごたえを感じる素敵な展覧会でしたね。

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複数人物の配置と形状(ポーズ)が生み出す「躍動感」「リズム」それを支える「線の強さ」が素晴らしい。ホドラーさんでないと絶対に出せないパワーがみなぎっております。と書きつつ、ドシロートの私がどうこう言えるヤワなもんじゃないので、結局のところ「興味のある方は急いで神戸へ!」としか言いようがありません。ははは、絵についての感想を放棄しちゃった。

この作品「春」は複数ヴァージョンがあります。展覧会では登場人物が5人ではなく、3人のヴァージョン「Ⅲ」が展示されています。

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こちらは、ポスターにも使われている「感情Ⅲ」という作品。

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風景画の展示も多く、それはそれで良いのですが、私はやっぱり人物画に惹かれます。癌に冒された愛人が、次第にやせ衰えて死に至るまでの様子を、何枚もの作品(?)に残したホドラーさん。深い悲しみと絶望に満ちた、それらの画を観ると彼の画家魂が恐ろしくなります。心が揺さぶられました。

誰が見ても声を揃えて「美しい!」という芸術ではありません。取り上げるテーマも含め、むしろ好き嫌いの分かれる作風と思います。しかし、それゆえに、自分の嗜好と向き合う踏絵にもなります。美術好きの方なら、見逃してはいけない展覧会だと思いましたね。

それでは今日はこの辺で・・・。そうそう、兵庫県立美術館の最寄駅の阪神岩屋駅、派手なペイントで美術の街、をアピールしておりましたね、はい。

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上野で開催中「新印象派展」を拝見したハナシ。うっ、目がチカチカ・・・。 [絵画]

上野にある東京都美術館で「光と色のドラマ 新印象派展」を拝見しました。開催期間は2015年1月24日~3月29日。残すところあと3週間っすよ~興味ある方は急ぐべし!

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印象派といえばマネ、モネ、ルノワール、セザンヌ、シスレー、といった大御所が頭に浮かびます。では、新印象派とは何か?冠についた「新」の字に、ややや?と引っかかります。はい、美術好きの方ならご存知の「点描画法」の画家さんたち、であります。

創始者にして大御所はジョルジュ・スーラさん。3年間かけて描いた「グランド・ジャッド島の日曜の午後」(1886年)は評価ゆるがぬ金字塔。残念ながら、この作品は上野に来てませんが・・・。

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スーラさんと意気投合あるいは感化された画家たちは、次々と点描作品を生み出していきます。そして、20年をかけ点描絵画は変容を遂げます。20世紀に入ると、なんとマティスさんたちの「野獣派(フォーヴィズム)」に受け継がれていく。今回の展覧会は、19世紀末から20世紀への美術の潮流を、適切な作品配置と、コメント・ボードでみごとに表しておりました。企画された方々に大拍手であります!パチパチ。

さて、点描画法のメリットとは何か?従来の絵画が、絵の具をパレットで混ぜ、筆で「塗った」のに対し、点描画はその名のとおり、さまざまな色の細かい「点を打つ」ことで描きます。無数の色の点が「鑑賞者の目のなかで合成される」ことにより、画は濁りのない輝きを放つ、と、こうゆう理屈です。これは一種のゴマカシ・・・失礼、色彩効果の妙ですね。

事実、展覧会の絵画の多くは、画色がひじょうにクリーン、輝いて見えました。写真複製だと分かりづらいですが、会場で目の当たりにして、実感としてよ~く分かりました。

たとえば夜の風景でさえ、画面は輝いて見えます。これは、フランスのリュスさんの1896年の作品。

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それまでの印象派とは異なる手段(色彩理論と点描)で、「光」と「色」をとらえようとした新印象派。彼らは、それなり効果を上げたんでしょうけど、惜しむらくは、絵の「突き抜け感」が弱いですね。理論を積み上げた手法ゆえ、どうも頭でっかちな雰囲気がある。従来の印象派に属する重鎮画家が、点描絵画を批判し、「画は理屈じゃない!」と憤慨したのもよく分かります。

戸外で一瞬の光をとらえる、それまでの印象派。一方、アトリエにこもって延々と画布に色点を打つ新印象派。後者は芸術家というより、職人シゴトそのもの、ですものね。

そして点描絵画は作品作りに時間がかかる。長時間かけて綿密に描くので、作品から「ドラマチックな動き」や、勢い、が失われます。スーラさんの「グランド・ジャッド島」の人物たちは、時間が止まって凍りついたようです。さらに、点描技法は洗練されるほど、画家の個性を目立たなくする、つまり誰が描いても同じような画になる、という無個性化の欠点もありましょう。

しかし。私は、点描画の持つクールさや、体温低めの画面が、むしろ目新しく、面白いと思いました。現実離れしたシュールな雰囲気さえ発散しています。この非現実感こそが、やがてバルテュスさんに続くのでは?と思うほどです。

展覧会にあった大作のひとつ。スーラさんと並ぶ新印象派の巨人ポール・シニャックさんの作品。ワタクシ、この方の絵は理屈抜きに大好きです。点描で描かれた「人物画」の傑作です。

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いやあ、思わず会場で絵に顔を近づけてしまいました。サンド・ブラストしたようなブツブツの絵肌、ここまでやると「目がちかちか」であります。ここでも人物は、体温のない「物」の感じ、私はそこが好きですね。

点描人物画のひとつの到達点、ロジェさんの1890年代の作品。これはスゴイ。ふつうの技法と、点描技法を折衷したようで、点描ぽくないリアルな人のぬくもりがあります。ただし、リアルな肖像画なら、点描を採用する意味あるの?とプチ違和感を感じましたね。

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究極はアンリ・マティスさんの作品(1905年)です。うわ、マティスさん、若いころはこんな絵も描いてたんですねえ、知らなかった。点描技法をベースにしてるものの、点はでっかいし、色は派手。ほどなくしてマティスさんは、点描とまるで反対と思える面塗り、ド派手な、例の野獣世界へ突入します。しかし、その背景に、新印象派の「小さな点の集合による輝き」から、フォーヴィズムの、大胆な「面塗りのコントラスト」という進化過程があったのだなあ・・・と、いやはや今回はいろいろ勉強になりました。

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さて、本展覧会の100点を超える作品のなかで、私が特に気に入った作品2点をご紹介します。

もちろんシニャックさんの風景画です。モネに近い画風の「ピエール・アレの風車」(1885年)。新印象派を否定するわけではないけど、この画から放たれる、おおらかな風景の広がり、光の輝き、風の流れ、すがすがしさ・・・これを観ちゃうと、〇〇派、なんてカテゴリーはどうでも良くなります。そう思いませんか、皆さん!

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同じくシニャックさんの作品「クリシーのガスタンク」(1886年)です。しっかり点描しております。ただし風車の画とは1年しか違いません。私がシニャックさん作品を愛するのは、ココロ安らぐ平和な空気感です。シニャックさんはお金持ちのボンボンなので、精神的にゆとりがある、ってことでしょうか。芸術家はハングリー精神だけで育つわけじゃないんですね、品性というか「ゆとり」も重要なんですね・・・って、そこまで話を広げてはいけませんな。

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というわけで、新印象派展が良かった、というよりは、いろいろな画を観ることで、「やっぱりシニャックさんの風景画は最高だわ」と自分の嗜好を再確認した展覧会、でございました。感想、以上です。

さて次に狙う展覧会は、神戸で開催中「ホドラー展」です。これは一筋縄ではいきません。ブログ記事にしづらい、という意味で。その基準も妙ですかね。ちゃんちゃん。

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ブリジストン美術館で開催中 「ベスト・オブ・ザ・ベスト」に行ってきたハナシ。 [絵画]

東京中央区、京橋のブリジストン美術館で、開催中の「ベスト・オブ・ザ・ベスト」展を拝見しました。いやあ、すごかったなあ!(←語彙貧困)

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タイヤで有名なブリジストンの石橋正二郎さんと石橋財団のアートコレクションを、一般鑑賞に供するため、1952年(63年前!)に開設されたブリジストン美術館。世界に誇る充実のコレクションがあります。今年(2015年)5月より、美術館は新築工事のため、数年間の休館となるそうです。

今回の「ベスト・オブ・ザ・ベスト」展は、現在の建物で行われる最後の展覧会。ブリジストンさんが保有する2500点以上の作品から、160点を厳選・・・と、なんともオトク、かつ刺激的な企画であります。パチパチ。

さて。

今回のように美術館コレクションを展示する場合、さまざまなアーチストの、異なる国と時代に亘る作品が会するわけです。そこで、鑑賞する側のワタクシが重要と思うポイントを書きますね。ちょっとエラソーですけど・・・。

まず第一に「世間が決めた作品評価にまどわされない」こと。第二にその延長で「自分の趣味、嗜好に忠実であること」、これに尽きます。世界的に有名、とか、値段ウン百億の絵、とか、そんな「外野の事情」で、作品をありがたがるオツムの弱い御仁が、悲しいかな、わんさかいます。ハナシに勢いがつきますが、中途半端に「美術好き」を自称するヤツに限って、そのアナに落ちるようです。たぶん子供のころに、どこかから「感動を刷り込まれた」んだろうなあ。いい歳して、自分の目ではなく、他人の目で、対象を評価するなぞ馬鹿げているではないか。

趣味を養うには、たったひとつの手段しかない。すなわち、どんな粗雑なものであろうと、自己の趣味に勇敢に従うこと、そして自ら感じるものを正確に自己に告白すること。あらゆる教養は、それゆえに虚栄心と対立するはずである。(アラン「スタンダール論」)

・・・以上、わかった風なセリフをさえずって、今回の展覧会、いってみましょう!

のっけから否定ぽくてすいませんが印象派の巨匠モネさん「睡蓮」。私はこの芸風が全然ダメ。美術史的な意義は認めるものの、輪郭がぼやけた、目指すものの分からない名作、私にとっては「迷作」であります。似た絵が世界中に何枚もある点も、画家のお手軽な自己複製っぽくてイヤなんですね。

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否定ついでに、セザンヌさんの描く山の絵。これも有名ですね。でも個人的に全然好きじゃない。唯一の食いつきどころは、私の出身地、札幌市の手稲の景色に似ていること。その山の中腹には金鉱採掘所の廃墟があって、この絵にソックリなんですよ。

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次からは、大好きな作品についてです。

誰がなんといおうと、スーティンさんの絵が好き。風景が生き物(それもエイリアン)のように、うねり、よじり、のたうち、絵画のバランスを脅かすほどの狂暴なエネルギーが噴き出しています。スーティンさんの作品は何を観てもツボにはまります。この作品1点を観るためだけに、入館料を払っても良い、と、それほど入れ込んでるワタクシです。

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サイズは小さいながら、モローさんの描く幻想美の究極。装飾的にもかかわらず透明な美しさ!美そのものへ肉薄するタッチ。ワタクシ、もはや気分はユイスマンス先生であります(調子に乗りすぎ?)。

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ああ、そして、これだよな、これ。ルオーさんの「郊外のキリスト」。もう有無を言わさぬ迫力です。これは絶対にホンモノを観て欲しいですね。絵画というよりレリーフ。絵の具が分厚く盛られ、左官屋さんのセメント仕事です。なにも、そこまで塗り重ねなくても・・・という疑問は置いといて、ルオーさんのストイックで偏執狂的な世界に浸れる名作です。宗教のヒトでなくても、心打つ「何か」が厚塗りの中にこもっています。将来、絵の具が剥げ落ちなければ良いが・・・。

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印象派にカテゴライズされる画家で、シスレーさんとシニャックさんは例外的にワタクシのツボにはまる方。これはシスレーさんの風景画、ほんとうに良いです。モネさんの「ぼやかし」でも、セザンヌさんの「下手ウマ」でも、ルノワールさんの「ふわふわ」でもありません。主義や技法を超えた、絵画に不可欠かつ根源である「対象への愛」を感じます。ココロが洗われる画というのは、こうゆうのを言うのでしょう。

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日本の作品です。有名作品メジロ押しですが、ズキンときたのは関根正二さんの「子供」(1919年)。青の背景に、赤い服の子供。西洋画なのに、しっかり「和」が感じられます。外国かぶれの日本人(失礼!)の作品のあとで、関根さんの本作をみると、ほっ、とするというか、そして、ちょっと怖いというか・・・。

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大好きな岡鹿之助さんの風景画です。さびしげな雪山風景。そこに、とけこむような水力発電所(!)。なんと渋い対照だろう。構図が実に整然としています。日本人的な綿密かつ几帳面なタッチに「セザンヌなんてなんぼのもんじゃい!」と、強く申し上げたいワタクシでした。

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好きも嫌いもひっくるめ、160点の作品を堪能させていただいた1日でした。これで入館料800円は安いです。職場から歩いて5分くらいなので、また行っちゃおうかなー。

「ベスト・オブ・ザ・ベスト」展、2015年5月17日(日)まで開催されています。今(2月)なら、比較的、会場は空いてると思いますので、アートに興味のある方、古今の名作にはじけたい方、彼女(彼氏)にエゴコロのあるところを自慢したい方、ぜひブリジストン美術館へ!

と、強引にまとめて今日はお終いっ。


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横浜美術館「ホイッスラー展」にいってきたハナシ。 [絵画]

横浜美術館で開催中の「ホイッスラー展」に行ってきました。

もともとの目的は展覧会ではなく、横浜への早朝ドライブです。千葉県市川市の自宅からダイハツ・ムーヴを走らせ一般道をとおって横浜へ。朝だと車が少ないので快適に走れます。所要時間1時間50分。帰りはさすがに首都高を通りましたけどね(1時間弱)。

横浜までドライブしたは良いが、そのあと何をするかが問題です。山下公園や、中華街でもないし、買い物する気はゼロだしぃ・・・と、ここで、みなとみらいの美術館でやってる「ホイッスラー展」を思い出した次第。はい。

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ジェームズ・マクニール・ホイッスラーさん(James Mcneill Whistler、1834~1903)はアメリカの画家。時代は印象派全盛期と言えますけど、新興芸術にあんまり興味が向かなかったご様子です。古典的作風に、ジャポニズム(浮世絵など日本美術)を交えた独自の画風であります。

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展示作品を拝見した印象は「古くて、ちょっぴり新しい」と言いましょうか、「なんじゃあこれ?」という戸惑いは皆無でした。ギンギン尖った感性の方から観ると、微温的で面白みがない、と感じるかも。

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ドラマチックな物語性を排し、絵画そのものの美、を追求した方とお見受けしました。油彩のほか、版画の分野でも活躍されたそうで、多くの版画作品が展示されていました。ただ、展覧会ですと、画面のサイズが大きく、色彩豊かな油彩画にどうしても目が向いちゃいますね。版画は、ほぼスルーした感じでスイマセン。

ホイッスラーさん、人生の後半になると、光と影が溶け合った風景画を描くようになります。なんともいえない色づかいと空気感、いいなあ、と思いました。

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晩年は美術界の要職に着かれるなど、ご出世されたようです。しかしホイッスラーさんがお亡くなりになった後、20世紀美術はキュビズム、フォービズム、シュールレアリズム、表現主義、ポップアート、と主義主張の濫立状態になりましたからねえ、ホイッスラーさんのような「良い絵だけど、特徴と主張が薄い」作品は忘却されがちでしょう。

余談ですが、ワタクシ、〇〇主義、とか、〇〇派、とカテゴライズされる作品をあまり好きではないです。だって流行に乗ってる感じするでしょう?(ちょっと偏見ですけどね)。時代のハヤリと無関係に、自らの芸術を信じて描き続けるココウ(孤高)の画家たちに惹かれます。古くは、デューラー、ボッシュ、グリューネワルト、モンス・デジデリオ、近世以降では、モロー、スーティン、ゾンネンシュターン、ベーコン、村山槐多、松本竣介、靉光(あいみつ)、神田日勝、川瀬巴水(かわせはすい)・・・まあ、挙げればきりがないのですが。

あ、話を広げすぎて収拾つかなくなったぞ。すいません。

ホイッスラーさんの展覧会に戻りましょう。面白かったのは、彼が金持ちのパトロンさんの室内装飾をデザインした「ピーコックルーム」(孔雀の部屋)の写真展示。室内の黒壁に文様化した金色の孔雀を描き、東洋陶器が棚に置かれています。中央には、金色の額縁のなかに、着物をはおった西洋美人の画。うーん、実にヘンチクリンな東洋趣向だ・・・。日本人としては、どう観るべきなんでしょうねえ。

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アメリカといえば日本の王道食文化=寿司を進化させ、カリフォルニアロールという新種(変種?)を生んだ国ですもんね。素材として東洋文化を取り入れ、うまく昇華した例もたしかにあります。しかし、ホイッスラーさんの画に関しては、「和のココロ」つうかベース部分が抜けて、失礼ながら「うわべの真似事」に見えちゃうんです。日本人のワタクシからすると「ボケるもツッコむもできない」居心地の悪さを感じますね。

日本の浮世絵や文様には「整然とした美学」が底流にあり、その流れのなかで抽象表現、そして「余白美」というものが成立しているんだけど、西洋の画家さんは、ややもすると画面を塗りたくってしまいます。いくら東洋フレーバーをまぶしたところで、塗りすぎた画面は、乱雑でベタベタになり、意地悪くいえば「悪趣味」になります。

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日本の美学、そのストイックさはスゴイのだなあ、と反作用的にそんなことを考えた、横浜美術館「ホイッスラー展」でございました。以上!


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ロブ・ゴンサルヴェスさんの、ファンタジックな絵画作品に感激であります。 [絵画]

美術通、絵本通の方からすれば、「何をいまさら・・・」と、ツッコミをうけそうですが、

ロブ・ゴンサルヴェスさん(Rob Gonsalves)というカナダの画家に、ワタクシ、すっかり惚れ込んでまして、もしやご存じない方もいるのでは?と大きなお世話で、ご紹介しちゃうのであります。

ロブさんは、1959年生まれの現役バリバリのアーチスト。現在50代半ばですから、ワタクシと同世代の方ですね。作風は分かりやすく、一方で謎めいています。たとえば、この作品。

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夢の世界、羽ばたく空想・・・って感じですけど、よくみると、画面左の田園風景の俯瞰が、右へ目を移すと、畑が絵柄に変わってベッドカバーになり、子供たちのベッドルームになるんですね。あるいは、この作品。

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遠くから続く橋梁が、手前に近づくにつれ帆船へと変わっていく。

そうです。遠近法や対象物の形状類似、ポジネガの錯覚を利用した、一種のトリックアートです。イラストタッチのメリハリを持ちながらも、水の表現など細部がリアルで、超絶技巧の持ち主だと分かります。2014年のカレンダーの表紙はこの作品。お見事です!

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私がはじめて、ロブさんの作品に出会ったのは(多くの方がそうでしょう)、絵本であります。ロブさんが画を担当されている3冊は日本で発売されていて、偶然、1冊を観た瞬間、ワタクシ画に引き込まれましたね。書店でもamazonでも手に入りますよ。(ちなみに、絵本の、文章のほうは別の方が書かれています)

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画のインパクトが強すぎて、文章(物語)がまったく思い出せません。申し訳ない。だってさあ、画が凄いんだもん。

美術好きの方なら、ロブさん作品から、二人の巨匠を思い浮かべるでしょう(私もそうでした)。シュルレアリズム絵画の創始者のひとり、ルネ・マグリッドさんと、「迷宮の小宇宙」を具現化したエッシャーさん、です。

ロブさんが、お二人から影響を受けていることは間違いないでしょう。しかし彼が、巨匠の単なるフォロワーでも、ましてやエピゴーネンでもない、独自の存在感を放つ理由は、空間感覚(画の奥行感ですね)と、それに伴って画面からあふれ出る「ファンタジー」ではないでしょうか。画のトリックに驚く以上に、ファンタジックな感性に対し、「うわあ、やるなあ」と嬉しくなるのであります。

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さらに言えば、マグリッドさんやエッシャーさんの作品が、クールな空気を漂わせるのに対して、ロブさんのそれには「ぬくもり」「ユーモア」が感じられます。ここが好感度大でありますなあ。はい。

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・・・と、私ごときシロウトが、知った顔をして説明するのは笑止ですね。理屈抜きで、楽しむことを、画家も望んでおられることでせう。

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それにしても、ロブさんの筆は、石のひとつひとつ、木の枝一本にまで神経が行き届いています。こだわりに惚れ込んでしまいます。なにせ「神は細部に宿る」のですから。

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唐突ですが、関東にも紅葉の季節がやってきました。季節にぴったりのロブさん作品を見つけたので、秋気分とともに掲げたところで、今日はお終いっ!ちゃんちゃん。

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安野光雅(あんのみつまさ)さんの水彩画、「野の花」展に行ってきました。 [絵画]

画家であり絵本作家の安野光雅(あんの みつまさ)さんの水彩画展「安野光雅が描く野の花」に行ってきました。

新作ではなく、過去に本で出版された作品の原画(60点)です。世界でも高い評価を得ている大御所(1926年生まれの御年88歳!)がつむいできた、淡く優しい水彩画に、気持ちがすぅーっと穏やかになる素敵な企画でした。

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開催場所は、私の自宅から20分ほど歩いた、市川市の芳澤(よしざわ)ガーデンギャラリーです。といってもローカルな話なので分かる方は少ないでしょうね。千葉県市川市の住宅街のなか、1000坪の庭に囲まれた、こじんまりした建物です。最寄駅は、京成電鉄の市川真間(いちかわまま)駅であります(駅からは少し遠いです)。

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入場料500円とは良心的ですなあ。2014年11月30日(日)まで開催されてますので、水彩画を愛する方、野の花を愛する方は、ぜひ市川市までお越しください・・・って、オレは広報担当者かっ!

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さて前述のように、展示作品は本となって出版されております。「野の花と小人たち」は1976年に、「もりのえほん」は1977年に、「みちの辺の花」は1994年にそれぞれ出版されました。

作品を観るなら、本を買えばいいじゃん、と思うかもしれませんが、そうじゃないんですねえ~。

とくに「野の花と小人たち」収録の作品は、水彩画独特の微妙な色合いが肝です。原画でないと分からない良さがあります。実際、会場で観て「うむむ」と唸ってしまいました。

描かれるのは、道端や草むらで見かける(今では希少なものもありますけど)、いわゆる雑草のような草花。そのなかに小人の親子がいます。ファンタジックな画ですが、海外絵本にありがちな「押しつけがましいメルヘン」ではありません。安野さんの草花愛を象徴するかのように、小人たちはさりげなく描かれます。その「控えめさ」が好ましいですね。

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画の素晴らしさもさることながら、こうゆう節度がステキだなあ、と思いました。

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ちなみに原画のサイズは幅650mm×535mm。細かい描きこみをされているので、もっと大きい画かと思ってました。鑑賞するにはちょうど良いサイズであります。

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一方、「もりのえほん」の原画(10点)は作風がガラッと異なります。だまし絵、というのでしょうか、線描の森の風景のなかに動物が隠されていて、何匹見つけられるかな?という遊びゴコロあふれる作品。それぞれの絵の下には、画中の動物の名前が、ネタばれ的に掲げられてるので、ついつい画を凝視してムキになって探してしまう・・・。

派手さこそないものの、会場の雰囲気にピッタリの、穏やかな安野光雅さんの水彩画世界(の一端)に触れることができました。良い企画だなあ~と感じ入って、芳澤ガーデンギャラリーをあとにした好天の1日でした。

芳澤ガーデンギャラリーの庭であります。熟した柿の実が、手にとどくところに生ってました。秋を感じますねえ。以上!

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20世紀最大の画家(?)バルテュスの展覧会を、京都で拝見したハナシ。 [絵画]

8月にブログに、バロットン展を拝見し「おお、いいなあ!」と感激したハナシを書きました(ブログ記事は→ここ)。その余波で脳内がアートモードになり、はい、行ってまいりましたあ!

京都市美術館、7月5日~9月7日開催の「バルテュス展」であります。

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この展覧会、京都の前に、東京でも開催していました。千葉県在住のワタクシ、行くなら東京会場なんですが、わはは、いろいろあって見逃したんですナ。そんなわけで、真夏の休日、「展覧会のためだけに京都へ行く」という、贅沢なんだか間抜けなんだか分からない展開です。ま、せっかく京都に行ったんだから、清水寺とか三十三間堂あたり行こうか、と一瞬は考えたんですけどね、この日はすんごい暑く、即時、煩悩を断ちました。名所など一切寄らず、京都駅←→美術館を往復して撤収だ!うひゃあ。

京都市美術館、立派でした。近くにある赤い鳥居と対照的に、洋風石造りの建物。それらが違和感なく共存するのは、さすが歴史の街、京都でございますなあ。

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さて、展覧会の主役、バルテュスさん。フランス生まれのドイツ人画家(←ドイツ人だって知ってました?)。1908年生まれ、2001年お亡くなりになっています。奥様が日本人ということもあり、親日家としても有名でした。

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宣伝文句の「20世紀最大の画家」かどうかは何とも言えませんが、とにかく私の大好きな画家であります。ただし、私が偏愛する作品は1950年以前(特に1930年代)に描かれたものがほとんどなんです。1950年代以降50年間の作品は「一級のアートだろうけど、個人的には全く惚れない」のであります。ちなみに今回は出展されていませんが、私の大好きな作品「街路」(1933年)が、これです。

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結論を先取りしちゃうと、今回の展覧会を拝見し、そうした自分の嗜好を改めて確認する結果となりました。

バルテュスさんのライフワークともいえるテーマ=「少女」、を扱った名作「夢見るテレーズ」(1938年)。片足を上げて下着をのぞかせながら、思いにふける少女の精神性とエロチックが混在する見事さ。実物の訴求力は、ものすごかったです。独特の画質(塗りはひじょうになめらか)、明晰とあいまいの中間タッチ、このテーマにはこの表現しかない、と思わせるドンピシャリの傑作でした。恐れ入りました。

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展覧会には風景画や素描もありましたが、ワタクシとしては、バルティスさんの真骨頂は「人物」と言いたい。1933年の「鏡の中のアリス」、怖いくらいの存在感があります。

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いよいよ今回の展覧会の目玉である(ポスターにも使われています)、バルテュスさんの代表作「美しい日々」(1944~1946)。有名作品だけあって、本作にはたくさんのお客が集まっておりました。肉感を排除した人形のごとき少女なのに、大人びた顔つき、不思議な(不自然な)上半身のポース、伸ばした右脚、立てた左足、はだけた胸の意味深な感じ。火をたく右の男の存在。そこから醸し出される不穏で隠微な空気・・・ワタクシ好みの「深読み具象画」であります。じーっと眺めいると吸い込まれそうな強烈な吸引力がありますね。

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このあたりまで(1950年以前)の作品が、ワタクシが偏愛するバルテュスさんです。その後の、たとえば「トランプ遊び」(1966~1974)になりますと、様式化された構成や、フレスコ画のようなマチエールばかりが気になり、絵画の「中」に素直に入れなくなるワタクシです。

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ちょっとネガティヴに書いてしまいましたが、初期作品の「本物」を観られただけでも、本展覧会に大きな意義を感じましたし、バルテュスさんの画業を俯瞰できて大満足。京都まで新幹線で観に行くだけの価値は十分すぎるほどにありました。いやあ拝見して本当に良かったです。

そうそう、展示作品のなかで、すっかり気に入ったのが、バルテュスさんが11歳(1919年)で制作した「ミツ」です。紙に黒い水彩絵の具で描かれた40枚の連作で、愛猫ミツの出会いと別れまでが描かれた物語。リルケがこの素描をみて感動し、彼の尽力で1921年に出版されたそうです。

猫好きのワタクシ。油彩作品以上に、この物語にじっくり見入ってました。猫のミツが姿を消して、少年が必死に探し回るけど結局見つからず、連作の最後の1枚は、涙を流す少年の姿で終わるんですね。それを見て、なんだかこちらまで悲しくなってしまい、私は会場でもらい泣きしちゃいました。ホロホロ。。。

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京都は暑かった(熱かった)けどすばらしい展覧会、すばらしい感動を与えていただいた1日でした。

バルテュスさん、万歳!ありがとうございます。

そして、猫のミツ、万歳!

絵画って本当に素晴らしいですよね・・・って、ベタなまとめで今日はお終いっ!


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